研究内容

研究内容


道路橋床版疲労/損傷の評価

 道路橋床版の疲労損傷について、劣化メカニズムを解明するとともに各劣化フェーズで有効なセンシング方法を研究開発しています。具体的には、疲労損傷を実験的に再現した床版への先端非破壊計測手法の適用(図-1)、既に床版下面を接着補強した補強板(鋼、炭素繊維)の剥離評価(図−2)、アスファルトと床版コンクリートの界面劣化の新たな診断・評価方法の開発などです。
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▲図−1 実橋より切り出した床版の弾性波速度分布
 
図2
▲図−2 補強鋼板の変状事例

PCグラウトの充填性状評価

 PC構造物の事故の原因としてグラウト充填不足によるPC鋼材の腐食や破断が挙げられています。そこで本研究ではグラウトの充填性状を弾性波トモグラフィ法を中心に研究しています。

図1
▲図−3 プラスチック製シースでの弾性波速度分布

先端非破壊計測手法と劣化指標

 微小な破壊で生じる弾性波は、“アコースティック・エミッション(AE)”と呼ばれ、古くから大規模な崩落などの前兆現象として注目、研究されてきました。本研究室では、 AE技術のブレークスルーとして、まず既存欠陥(クラックや損傷など)から生じる「二次AEアクティビティ」に着目し、トモグラフィ技術を援用することで、新たなAE震源特定と速度構造分布の再構築による損傷(劣化)領域の可視化手法「AEトモグラフィ」を発案、3次元まで拡張し、バルクインフラの健全性評価に役立てようと研究しています(図-4)。AEトモグラフィは、速度異方性パラメータの導入も理論的に可能で、現在航空機などの先端複合材料への導入も期待されています。 破壊のマルチスケール性に立脚した非破壊手法のメニュー化、さらには損傷や劣化そのものの定義については、実はこれまであまり実施されていない事項といえます。当研究室では、弾性波の伝達関数を利用した新たな劣化指標、例えばQ値に関する研究を実施しています(図-5)。

図1

▲図−4 凝灰岩の三軸試験で得られたAE源と最終ステップで得られた

一部のAE源のみでAEトモグラフィ解析した速度分布

 
図2
▲図−5 損傷パラメータΩの増加にともなうQ値

次世代広帯域Super Acousticセンサの開発

 破壊のマルチスケール性に立脚した非破壊手法のうち、振動に着目すれば微視的な破壊は極めて短時間に生じるため、周波数領域ではM(メガ)Hz以上の振動に有効なセンサでとらえなければなりません。一方、終局的な破壊に着目する場合、その現象はゆっくりと生じることから数十Hzの振動に有効なセンサで十分とらえることができます。このように一つのセンサで全てのフェーズに対応することはできず、着目すべき破壊現象に見合う周波数が検知できるセンサが、それぞれで必要でした(図−6)。当研究室ではこれらの周波数を全て網羅可能な画期的な「ピエゾ抵抗型カンチレバーセンサ」を他のアカデミア、大手電機メーカと協力して研究開発し、実際の大型土木構造物の適用を前提にMEMS化(無線、無電源供給)することで、インフラのローカル〜グローバル診断を一気通関で実施しようとしています。

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▲図−6 劣化フェーズ(破壊規模)に対応したセンシング概念

革新材料のマクロ評価

 革新的材料拠点COIプロジェクトで開発するFRP部材のマクロ評価技術の研究を担っています。FRP部材の破壊メカニズムを解明し、その評価にはFBGやBOTDGなど光ファイバセンシングを将来的に導入できるように研究開発しています 。

斜面安定評価センサの開発

 既に開発した「超音波を利用した斜面グラウンドアンカー軸力測定」の実斜面導入を念頭に、試験法の標準化と普及を実施しています。また、実際の斜面変状に有効な水分・変形統合センサの開発を他のアカデミア、大手電機メーカと共同で取り組みはじめました。