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インフラ先端技術産学共同研究部門についてABOUT ITIL

破壊的異能 [INNO]vationにより次世代インフラシステムの構築へ
融合 fusion, 結合 combination, 連携 tie-up/ cooperationそして,協業 collaboration

 平成26(2014)年4月に可視化できない土木構造物内部の劣化を調査診断できる先端技術を研究開発する場として共通の問題を有する西日本高速道路、阪神高速道路および、両者のエンジニアリング会社が中心となり、当時社会基盤工学専攻宮川豊章教授を本学の代表者、白土博通教授(故人)、塩谷智基特定教授を運営委員として「インフラ先端技術共同研究講座」が設立された。
 本講座は同時に、国家プロジェクト「SIP、戦略的イノベーションプログラム(内閣府)」、「RIMS、道路インフラモニタリングシステム、NEDO」、「大規模インフラ向け高性能振動発電開発、NEDO」、「COI センターオブイノベーションプログラム、JST」に参画する機会も得て、3期6年間にわたる2019年度まで道路インフラを中心に革新的な検査・診断手法を中心に多くの実績を上げてきた。また、これらの特異技術は、民間道路会社維持管理フローへの導入検討がなされているほか、京都府、富山市などの自治体とも技術連携し、自治体管理構造物への活用も試みられている。さらに、ドナー側の合意を得て、国内外の研究機関を含め、電機メーカー、建設会社、建設コンサルタント、計測会社をはじめ他大学との連携研究も積極的に実施してきた。また、同じ課題に挑む海外研究機関との研究交流も精力的に図り、これまでブリュッセル自由大学、エジンバラ大学、スイス連邦工科大チューリッヒ校、リュブリャナ大学(スロベニア)、香港理工大学、マラヤ大学、トリアッティ大学(ロシア)、深圳大学などから研究員を受け入れ共同研究を実施してきた。
 2020年度には、本講座が中心となり、本学工学研究科で初めての公式コンソーシアム「インフラ先端技術コンソーシアム」が設立された。コンソーシアムは、革新的な検査・診断技術を確実に実装し、点検・診断・措置・記録の維持管理サイクルに導入するための、蓄電、電送技術など土木分野以外の課題に対応できる分野横断型の組織で、本講座はこれまで、西日本高速道路、西日本高速道路エンジニアリング関西、鷺宮製作所、IPH工法協会、東海技術センター、藤村クレスト、CORE技術研究所、東芝、大日本ダイヤコンサルタント、大成建設、ニューブレクス、オートデスク、水資源機構、日本ピーエス、エッチアンドビーシステム、中日本高速技術マーケティング、JFDエンジニアリング、IHI検査計測、Nix JAPAN、物質・材料研究機構、量子科学技術研究開発機構をパートナーとし、様々な課題の研究開発を担ってきた。令和5(2023)年11月には、国家プロジェクト「SIP、戦略的イノベーションプログラム(内閣府)」第3期である「スマートインフラマネジメントシステムの構築」に参画する機会を再び得た。また、令和6(2024)年4月1日より、京都大学内で新設された成長戦略本部に所属を移し、「インフラ先端技術産学共同研究部門」と名前を改めることになった。今後も更なる早期社会実装を目指して鋭意に取り組んでいく。

ニュース&トピックスNEWS & TOPICS

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3Dプリンティング技術を活用した耐震補強実験に参加

2025年1月30日、本研究室が参画している、内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期「スマートインフラマネジメントシステムの構築」のサブ課題B「先進的なインフラメンテナンスサイクルの構築」(研究開発責任者:石田哲也東京大学教授)において,その研究活動の一環として実施した「3Dプリンティング技術を用いた既設柱の巻き立て耐震補強に関する実験」(大成建設)が公開された。今回の実験に、国立研究開発法人土木研究所をはじめとする約30名の関係者が視察しました。(日刊建設工業新聞 2025年2月3日


この実験では、鉄筋に比べ軽量で耐食性や低磁性に優れた「バサルトFRTPロッド」と、3Dプリンティング技術を組み合わせた耐震補強手法の有効性を検証しました。補強工法では、短繊維補強モルタルを用いて外殻を3Dプリンティングし、既設柱と外殻の間に高流動コンクリートを充填することで補強を行いました。この方法により、外部支保工を不要とし、生産性の向上が期待されています。


3Dプリンティング技術を活用した耐震補強の性能確認試験は世界初の試みであり、実験の結果、通常の鉄筋コンクリート柱に比べ耐震性能が向上することが確認された。本技術により、省力化・高強度化・高耐久化が可能となり、今後のインフラ維持管理における有望な手法となることも期待されています。


また、本研究室では、弾性波トモグラフィやAE(アコースティックエミッション)、パルスエコーの手法を用い、正負交番載荷試験における非破壊試験を実施しました。これにより、補強後の柱内部における破壊挙動を可視化し、3Dプリンティングによる耐震補強の効果をより詳細に検証します。


公開実験では、SIPプログラムディレクターである久田真教授(東北大学)が、「本技術が世界と競争できるものであることを広く発信してほしい」と講評し、さらなる技術革新の重要性を強調されました。


本研究室は、今後も3Dプリンティング技術を活用したインフラ構造物の維持管理研究を推進し、持続可能なインフラの構築に貢献してまいります。


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「インフラDXの未来を考える」セミナー(塩谷特定教授が講演ほか)が、建設通信新聞に掲載されました

2024年12月6日に、JPタワー ホール&カンファレンスで開催された、日刊建設通信新聞社主催の「インフラDXの未来を考える」セミナーが、2025年1月28日付の「建設通信新聞」に掲載されました。

本セミナーでは、国土交通省のBIM/CIM原則化を出発点に、インフラDXが向かうべき方向性についての考え方が述べられました。塩谷教授は講演者として登壇し、その後、国土交通省の森下大臣官房参事官や小林総合政策局社会資本経済分析特別研究官と共に、インフラDXの未来についてパネルディスカッションにも参加しました。

本セミナーでの各講演やパネルディスカッションの内容については、以下からご覧いただけますので、ぜひご一読ください。

出典:「BIM/CIMからつながるインフラDXの未来」(建設通信新聞)

※掲載許可を頂いております。

下記の画像(PDF)はこちら

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塩谷特定教授、「インフラDXの未来を考える」セミナーで講演

 12月6日、塩谷教授が日刊建設通信新聞社主催の「インフラDXの未来を考える」セミナー(JPタワー ホール&カンファレンスにて開催)で、「戦略的インフラ維持管理を支えるデジタルツインとセンシングの融合」をテーマに講演を行いました。
 講演では、点群データを活用して再現されるインフラ構造物のデジタルツインに内部情報を統合する必要性について、概観調査と内部調査が異なる事例を交えて説明しました。また、構造物の寿命を左右する竣工時の初期状態の重要性を強調し、12月10日にキックオフ会議が開催されるRILEM TC-QPA「3DPコンクリートの品質評価委員会」の取り組みも紹介しました。

 さらに、講演後には国土交通省の森下大臣官房参事官や小林総合政策局社会資本経済分析特別研究官とともに、インフラDXの未来についてパネルディスカッションに登壇しました。

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本研究室と東芝との共同研究が生んだ成果:インフラ点検の未来を変えるAE技術

 本研究室は、2013年から東芝とともにAE(Acoustic Emission)技術を活用した共同研究を進めてきました。このたび、共同研究の成果を基に、橋梁床版の健全性評価にAEセンシング技術を適用するビジネスが高速道路で展開されることとなりました。(詳細はこちら)

 AE技術によるモニタリングは、これまで国内外で幅広く用いられてきましたが、多くは自動車産業や航空宇宙産業などの閉じた環境(Close展開)での利用、または橋梁ケーブルや、PC構造物の劣化が顕在化したときのIn-caseのモニタリング事例が中心でした。しかし、今回の成果は、Routine検査としてインフラ構造物にAE技術を実装する世界的にも画期的な取り組みです。これはAE科学・技術にとって誇らしい大きな一歩であり、実務における新たな活用の可能性を示しています。

 さらに、この健全性評価手法は、日本国内ではすでにNDIS(日本非破壊検査協会規格)2434および2435として規格化されており、現在JIS化も進行中です。また、国際的にも高い評価を受けており、RILEM(国際材料構造試験研究機関・専門家連合)の推奨方法として、塩谷教授が委員長を務めたTC-269IAMの活動成果としてMaterials and Structures Journal(Springer社)で近々公表される予定です。

 この取り組みは、インフラ維持管理における新たなスタンダードの確立に向けた第一歩となり、さらなる発展が期待されます。

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ミュンヘン工科大学(TUM)のNDTセミナーにて塩谷特定教授が講演

 11月21日(木)、塩谷特定教授がミュンヘン工科大学(ドイツ連邦共和国)にて開催された「Seminar “Zerstörungsfreie Prüfung”(NDTセミナー)」に外部講師として招かれ、「Non-Destructive Testing in 3D-Printed Concrete Structures Using Elastic Wave Approaches」と題してオンラインより講演を行いました。

 講演では、土木構造物の初期品質がライフサイクル全体に与える影響について、コンクリートスラブの疲労試験結果を基に解説しました。さらに、目視観察では評価が難しい構造物内部の状態について、実橋梁のRC床板に弾性波トモグラフィを適用した事例を用いてその重要性を示しました。

 また、新たに発足したRILEM TC QPA(コンクリート3Dプリンティング技術における品質評価)の活動について概要説明に加えて、橋梁フーチング基礎の永久型枠への非破壊検査技術の適用事例を紹介し、今後の展望についても触れました。